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2026年8月1日号 - 本編 -原作-御来series - 希望王女BethlehemFantasy

Released Aug 1, 2026 ・ 2 pages ・ free online

2026年8月1日号 - 本編 -原作-御来series - 希望王女BethlehemFantasy Page 1
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御来 ― 希望王女 BethlehemFantasy ―
原作小説

第一章 なんでもない一日

 朝は、いつも同じだった。

 目覚まし時計が鳴る。

 六時五十分。

 星りんごは、布団の中で目を開けた。

「……んー……」

 けれど、起きなかった。

 目を開けたまま、天井を見る。

 白い天井。

 いつも見ている天井だった。

 天井の隅には、小さな丸い照明がある。

 昨日も見た。

 一昨日も見た。

 たぶん、明日も見る。

 目覚まし時計がもう一度鳴った。

 ピピピピピ。

「……うるさいなあ」

 りんごは布団から手だけを出して、時計のボタンを押した。

 音が止まる。

 静かになった。

 りんごは、また目を閉じた。

 五分くらい、そうしていた。

 すると今度は、部屋の外から声がした。

「りんごー。起きなさーい」

「起きてるー」

「起きてないじゃない」

「起きてるよ」

「じゃあ着替えて」

「はーい」

 返事だけはした。

 けれど、すぐには起きなかった。

 布団の中は暖かかった。

 学校に行かなければならない。

 それは分かっている。

 今日は月曜日。

 時間割も昨日の夜に確認した。

 一時間目は国語。

 二時間目は算数。

 三時間目は理科。

 四時間目は体育。

 給食を食べて、五時間目は音楽。

 そして帰る。

 考えるだけで、なんとなく疲れた。

「……学校かあ」

 小学四年生。

 十歳。

 星りんご。

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特別なことは、何もない。

 成績は普通。

 運動も普通。

 好きなものは甘いもの。

 嫌いなものは、苦いもの。

 友達もいる。

 先生もいる。

 家族もいる。

 困っていることがあるわけでもない。

 何か大きな悩みがあるわけでもない。

 毎日、ちゃんとご飯を食べている。

 毎日、学校へ行く。

 毎日、帰ってくる。

 そして宿題をする。

 それからお風呂に入って、テレビを見たり、本を読んだりして、寝る。

 それだけ。

「……つまんない」

 りんごは小さく呟いた。

 別に、学校が嫌いなわけではない。

 友達が嫌いなわけでもない。

 先生が嫌いなわけでもない。

 家が嫌いなわけでもない。

 ただ。

 毎日が同じなのだった。

 同じ朝。

 同じ道。

 同じ教室。

 同じ机。

 同じ黒板。

 同じ給食。

 同じ帰り道。

 昨日と今日で何が違うのか、りんごにはよく分からなかった。

「りんご!」

「はーい」

 もう一度呼ばれて、ようやく布団から出た。

 寒い。

「さむ……」

 床に足をつける。

 ひんやりしていた。

 パジャマのまま、りんごはしばらく立っていた。

 そして、制服ではなく学校の服に着替える。

 髪を整える。

 顔を洗う。

 歯を磨く。

 ランドセルを背負う。

 朝ご飯を食べる。

 今日はトーストだった。

「いただきます」

 りんごはパンをかじった。

 サクッ。

 バターの味がした。

「今日、体育あるよ」

「そうなの?」

「時間割見たでしょ」

「見たけど忘れた」

「体育着、入ってる?」

「……たぶん」

「確認しなさい」

「はーい」

 りんごはランドセルを開けた。

 教科書。

 ノート。

 筆箱。

 連絡帳。

 体育着。

「入ってた」

「よかったね」

「うん」

 それだけだった。

 朝食が終わる。

 時計を見る。

 七時四十五分。

「行ってきます」

「いってらっしゃい」

 玄関を出る。

 外は少し冷たかった。

 空は青かった。

 雲がいくつか浮かんでいる。

 りんごは空を見上げた。

「……空だ」

 当たり前だった。

 毎日、空はある。

 晴れている日もあれば、雨の日もある。

 今日は晴れ。

 それだけ。

 りんごは歩き出した。

 学校までの道も、いつもと同じだった。

 角を曲がる。

 小さな公園を通る。

 横断歩道を渡る。

 コンビニの前を通る。

 また角を曲がる。

 学校が見える。

「おはよう」

 途中で同じクラスの女の子に声をかけられた。

「おはよう」

「今日体育だね」

「うん」

「何するんだろう」

「知らない」

「たぶんマットじゃない?」

「そうかも」

 それで会話は終わった。

 二人で学校まで歩いた。

 特別な話はしなかった。

 学校に着く。

 昇降口で靴を脱ぐ。

 上履きに履き替える。

 廊下を歩く。

 教室に入る。

「おはよー」

「おはよう」

「りんご、おはよ」

「おはよう」

 何人かに挨拶する。

 自分の席に座る。

 窓際から二列目。

 前から三番目。

 いつもの席。

 ランドセルから教科書を出す。

 机の中に入れる。

 筆箱を置く。

 それから窓の外を見た。

 校庭では、六年生が何人か走っている。

 先生が笛を吹いている。

 ピッ。

 ピッ。

 遠くから聞こえる。

「……何してるんだろ」

 体育だろうか。

 たぶん体育だ。

 りんごは頬杖をついた。

 黒板には、今日の日付が書いてある。

 先生が来る。

「おはようございます」

「おはようございます」

 みんなが言う。

 りんごも言う。

 授業が始まった。

---

 一時間目は国語だった。

 教科書を開く。

 先生が文章を読む。

 みんなが教科書を見る。

 りんごも見る。

 文章の中には、知らない男の子が出てきた。

 男の子が犬を飼っていて、その犬がいなくなったらしい。

 りんごは文章を読みながら思った。

 ――かわいそう。

 それから、

 ――でも、授業が終わるまであと何分かな。

 と思った。

 時計を見る。

 九時二分。

 まだ始まって十五分くらいだった。

「……長い」

 もちろん声には出さない。

 教科書に視線を戻す。

 先生が質問する。

「りんごさん、このとき主人公はどんな気持ちだったと思いますか?」

「えっと……」

 急に当てられた。

 りんごは少し考えた。

「……悲しかったと思います」

「そうですね」

 先生が笑う。

 りんごは座る。

 それだけ。

 また授業が続く。

 ノートを書く。

 鉛筆を動かす。

 字を書く。

 消しゴムで消す。

 また書く。

 窓の外を見る。

 雲が少し動いていた。

 さっきより右にある。

「雲って、どこまで行くんだろ」

 そんなことを考えていたら、

「星さん、黒板を見てください」

「はい」

 また先生に注意された。

 りんごは黒板を見た。

 授業は続く。

 やがてチャイムが鳴った。

 キーンコーンカーンコーン。

「終わり」

 りんごは小さく息を吐いた。

 休み時間。

 友達が近くに来る。

「りんご、外行こう」

「えー」

「行こうよ」

「寒い」

「今日はそんなに寒くないよ」

「でも寒い」

「じゃあ教室にいる?」

「うん」

「じゃあ私もいる」

 二人で窓の外を見る。

 特に何もしない。

 友達が机の中から小さな折り紙を出した。

「これ昨日作った」

「何?」

「猫」

「猫に見える」

「でしょ?」

「うん」

「りんごも作る?」

「今日はいい」

「そっか」

 友達は折り紙を折り始めた。

 りんごはそれを眺めていた。

 紙を折る。

 開く。

 また折る。

 角を合わせる。

 爪で折り目をつける。

 それを見ているだけで、なんとなく眠くなった。

「……暇だね」

「うん」

「毎日こんな感じだね」

「そう?」

「そうだよ」

「でも楽しいじゃん」

「うーん」

 りんごは窓の外を見る。

「普通」

「普通が一番じゃない?」

「そうなのかな」

「たぶん」

 チャイムが鳴った。

 二時間目。

 算数。

 今日は割り算だった。

 黒板に数字が並ぶ。

 先生が説明する。

 りんごは計算する。

 答えを書く。

 合っていた。

 少し嬉しかった。

 でも、それだけだった。

 特別なことは起こらない。

 時計の針が少しずつ動いていく。

 九時。

 十時。

 十一時。

 午前中が終わる。

---

 給食の時間が、りんごは一番好きだった。

 今日の給食は、ご飯、味噌汁、焼き魚、それから野菜。

「いただきます」

 みんなで手を合わせる。

 りんごはご飯を食べる。

「おいしい」

 焼き魚を食べる。

 少し骨があった。

「骨ある」

「取ればいいじゃん」

「分かってる」

 箸で骨を取る。

 味噌汁を飲む。

 温かい。

「……これ好き」

「味噌汁?」

「うん」

「普通じゃん」

「普通でいいの」

 友達が笑った。

「りんごって変なの」

「そう?」

「うん」

「まあいいけど」

 給食を食べ終わる。

 牛乳を飲む。

 牛乳パックを片付ける。

 食器を返す。

 昼休み。

 今日は校庭に出た。

 りんごは走らなかった。

 ベンチに座っていた。

 友達は鬼ごっこをしている。

「りんご、やらないの?」

「やらない」

「なんで?」

「疲れるから」

「まだ何もしてないじゃん」

「走る前から疲れてる」

「それはおかしいよ」

「そうかな」

 りんごは笑った。

 空を見る。

 朝よりも高く感じる。

 雲がゆっくり流れている。

 白い雲。

 大きな雲。

 小さな雲。

 形が少しずつ変わっている。

 りんごはそれを眺めていた。

「……あの雲、パンみたい」

「どれ?」

「そこ」

「どれ?」

「あっち」

「分かんない」

「もう変わった」

「早いよ」

「うん」

 りんごは少し笑った。

 でも、やっぱり暇だった。

 昼休みが終わる。

 五時間目。

 音楽。

 歌を歌った。

 先生がピアノを弾く。

 みんなで歌う。

 りんごも歌う。

 それから音符を書く。

 授業が終わる。

 帰りの会。

「今日の宿題は――」

 先生が宿題を黒板に書く。

 漢字。

 算数。

 音読。

「多いなあ」

 誰かが言った。

 教室に笑い声が起こる。

 りんごも笑った。

 そしてランドセルに荷物を入れる。

「さようなら」

「さようなら」

 学校が終わった。

---

 帰り道。

 りんごは一人で歩いていた。

 朝と同じ道。

 でも、朝とは少し違う。

 太陽が少し低い。

 風も少し冷たい。

 道路の端に落ち葉があった。

 りんごは一枚拾った。

 黄色い葉。

「きれい」

 それだけ言って、また落とした。

 家に帰る。

「ただいま」

「おかえり」

 ランドセルを置く。

 手を洗う。

 おやつを食べる。

 今日はクッキーだった。

 テレビをつける。

 面白い番組をやっていた。

 しばらく見る。

 笑う。

 CMになる。

 少し暇になる。

 また番組を見る。

 夕方になる。

 宿題をする。

 漢字を書く。

 りんご。

 星。

 学校。

 空。

 先生。

 何度も書く。

 算数をする。

 割り算。

 答えを書く。

 全部できた。

「終わった」

 音読をする。

 家族に聞いてもらう。

「もう一回」

「えー」

「宿題だから」

「はい」

 もう一度読む。

 終わる。

「終わったよ」

「お疲れさま」

 りんごはソファーに寝転がった。

「疲れた」

「そんなに?」

「うん」

 天井を見る。

 朝と同じ天井。

 白い天井。

 時計を見る。

 まだ七時前だった。

「……長い」

 夕食を食べる。

 お風呂に入る。

 髪を乾かす。

 歯を磨く。

 明日の時間割を確認する。

 ランドセルを準備する。

 明日は火曜日。

 国語。

 社会。

 算数。

 図工。

 図工がある。

 少しだけ楽しみだった。

「明日、図工か」

 何を作るのかはまだ分からない。

 それだけで、ほんの少しだけ明日が違って見えた。

 けれど、それもたぶん、学校に行けば終わる。

 作って。

 片付けて。

 帰ってくる。

 そして水曜日になる。

 木曜日。

 金曜日。

 土曜日。

 日曜日。

 また月曜日。

「……ずっとこんな感じなのかな」

 りんごはベッドに入った。

 布団をかぶる。

 部屋の明かりを消す。

 暗くなる。

 窓の外から、遠くの車の音が聞こえる。

 ブーン。

 それから静かになる。

 りんごは目を閉じた。

 何かが起きるわけではない。

 不思議なことも起きない。

 空から誰かがやってくることもない。

 魔法の扉が開くこともない。

 知らない世界への招待状が届くこともない。

 少なくとも、今は。

 りんごはただの小学四年生だった。

 明日も学校へ行く。

 明日も授業を受ける。

 明日も給食を食べる。

 明日も帰ってくる。

 明後日も、その次の日も。

 同じような毎日が続いていく。

「……退屈」

 りんごは呟いた。

 でも、嫌いではなかった。

 退屈だけれど。

 つまらないけれど。

 なんとなく安心する。

 いつも同じ場所に家があって。

 いつも同じ道があって。

 いつも同じ学校があって。

 いつも同じ友達がいて。

 いつも同じように朝が来て、夜になる。

 それでいい。

 今は、それでいい。

 りんごは眠った。

 その夜も、何も起こらなかった。

 星空だけが、静かに窓の外に広がっていた。

 たくさんの星の中に、一つだけ。

 ほんの少しだけ明るい星があった。

 けれど、りんごは知らない。

 その星が何なのか。

 なぜそこにあるのか。

 自分と何の関係があるのか。

 知る必要もなかった。

 今のりんごには、まだ。

 ――希望王女になる理由など、何一つなかった。

 ただ、毎日を過ごしている。

 小学四年生の、星りんご。

 それだけだった。

 そして翌朝。

 また、目覚まし時計が鳴る。

 ピピピピピ。

「……うるさい」

 りんごは布団の中から手を伸ばした。

 昨日と同じように、時計を止める。

 昨日と同じように、目を閉じる。

 そして。

「りんごー。起きなさーい」

「……はーい」

 今日も、いつもの一日が始まった。。。。

筆:FR 星乃歩

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1 2026年8月号-希望王女ChirstmasFantasy

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Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/28(金) 07:43
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Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/27(木) 17:07
絶対大丈夫だよ!!
まだ間に合うよ!
Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/26(水) 12:05
降ってるね。生命が。
Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/25(火) 23:13
必ず守ろう。
さぁ、作ろう。
7年前の宣言通り2027
Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/25(火) 14:53
最近のデザインが非常に見づらかったため、教会風デザインとか魔法デザインとかではなく、シンプルなpixivやXに近い水色なシンプルスキンを採用しました。理由は馴染む、親和性とか理由があります。
Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/24(月) 19:57
制作チームは順調です。
お楽しみにください。
Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/24(月) 19:57
今必要なのは社会の平和ではなく目の前にいる人 一人の小さな平和だ。
Fr.星乃歩 m2026080909293410918d ・2026/08/23(日) 09:32
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